身の置き所がない話(日本語ってすごい&一昨日のクイズの答え)

昨日は満月メルマガの件を投稿したため、一昨日のクイズの続きを今日書きます。

ケアに携わっている人がよく見る、キネステティク感覚が阻害されている状態はなんでしょう、と書きました。何かというと、さんざん書いてますが、「エアマット」です。エアマットに寝ている方が、ベッド柵を握りしめているのを目にしたことはないですか。私は現在毎週二回見ています、現在エアマットに寝ている方への訪問が週二回あるので。ということは、エアマットの方が柵を握ってる率、100%です。ちなみにエアマットの方が柵を握ってるのは、どんな姿勢の時でも見られます。エアマットじゃない方が柵を握るのは、寝返りするときか横向きの時だけです。つまり、エアマットじゃないかたが柵を握るのは、姿勢が不安定な時か、何かを引く力を使って動きたいときです。逆に言えば、エアマットの方が常に柵を握ってるということは、常に姿勢が不安定であるか、常に引っ張って動きたいか、どちらかです。普通に考えて、常に引っ張って動きたいってことは無いですよね。ということはということは、エアマットに寝ている方は、常に姿勢が不安定なんです。

上の内容を読んで、ウッソー、と思った方。エアマットに寝たこと無いですね?寝たことがなくても、乗ったこと無いですね?エアマットに上って、座ってみれば分かります。端っこに座ると、落ちます。真ん中に座ると、揺れまくります。落ち着いて座れません。なぜそうなるかというと、エアマットは自分の重さを安定した面に流すことができないからです。でっかいバランスボールみたいなものです。動けない方は、主に褥瘡予防のために、でっかいバランスボールの上に寝ている訳です。でも、動けたら、でっかいバランスボールの上に寝る以外にも、褥瘡予防の選択肢はありますよね。逆に動けるのにでっかいバランスボールの上に寝ていたら、常にバランスを取り続けないといけません。バランスを取り続けようとすると、緊張が高まります。エアマットに寝ている人の身体が固くなるのは、当たり前ですね。動けるのにエアマットにずーっと寝ていて褥瘡を予防しつつ、拘縮も予防したいというのは、難しそうです。

このブログを書く為に、前にエアマットに寝ていた方の言葉を思い出したり、様子を表現する言葉を考えていて、「身の置き所がない」というのに思い当たりました。ざっくり言うと、落ち着かないとかどうしていいとか分からないとか、居心地が良くないとか言う意味ですね。身の重さを流す安定した面を与えられないと、文字通り「身の置き所がない」のです。身体の重さを扱うという意味で似ている言葉に、「浮き足立つ」とか、「足が地に着かない」とかがあります。「身の置き所がない」、「浮き足立つ」、「足が地に着かない」。日本語には、キネステティク感覚の欠如が心にもたらす影響を表す言葉がたくさんあります。キネステは今まで、人のケアに携わる人を中心に伝えられてきましたが、キネステティク・クラシックになって、パーソナルレベルでは自分の感覚、重さや緊張や圧をていねいに扱うようになりました。心が落ち着かない人は、身体を先に落ち着けることで、心がついてきてくれることがよくあります。今までよりいっそう、いろいろな意味で、どんな人にも、キネステティク・クラシックをお勧めしていきたいと思います。

 

 


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