介護のお仕事をしている方の、症状説明での会話。
「利用者さんをベッドの上の方に引き上げなきゃいけないから腰が痛いんです」
これをキネステクイズにすると、文章の中にいくつか誤解がありますね。
そのうち一番大きいのは、「引き上げなきゃいけないから腰が痛い」という部分です。
こんな短い文なのに何個かあるので、何回かに分けて説明します。
まず、ここから
「引き上げなきゃいけないから腰が痛い」
なんで引き上げないといけないんでしょう。
っていうか、引き上げたら腰が痛くなるのは当然ですね。
「筋力が無いからだ」とか「コツがあるんだ」というご意見も有りましょうから、言い方を変えます。
摩擦のある布の上の、
30キロの米が入った布製の米袋を、
毎日何回もえいやっと半ば持ち上げるようにしながら、
摩擦に逆らって、
全力で横移動させていたら、
腰は痛くなって当たり前ですね。
米が置いてある台が、低すぎたり高すぎたりしたらなおさらです。
人で考えたら仕事かもしれませんが、米で考えたら苦行です。
米じゃなくて砂袋なら、砂袋を移動し続ける地獄とかありそうです。
「人を米袋にたとえるなんて!」と言われそうですが、分かりやすいからそう書いただけで、もちろん米袋と人間は違いますね。
米袋は30キロですが、人間の大半は、30キロの重さでは収まりません。
そして、米袋は自分で動いてくれませんが、人間は自分で動いてくれることがあります。
「引き上げなきゃいけない」のではなくて、利用者さんに上がるための動作を出来る部分だけしてもらうことも出来るのでは。それでも引き上げてるんだったら、自分が好きで引き上げているんです。
求められているのは、利用者さんが適切な位置に横たわれることであって、利用者さんを引き上げることではありません。
好きで引き上げてるなら、趣味の腰痛です。
趣味じゃない!という方は、ぜひキネステの体験会なりこちらの書籍なりで、引き上げない方法を知って試してみてください。
米袋と人間の違いはまだありますが、それはまた明日。
明日はキネステティク・クラシック パーソナルレベルの初日 兼 キネステ体験会です。なにやら雪の気配ですが、ご参加の方、お気をつけていらしてください・・・。
テキストと副読本も明日の出番を待ってまーす♪