膝から下(いわゆる下腿)のむくみへの30分の施術(感覚の支援としてのマッサージ)

日本一変なキネステ教師宣言の中で、動かないことによって足が浮腫んでる女性と、退職後お母さん(奥さんでもお父さんでも良い)の介護をしている男性を挙げました。マニアックなことばかりではなく、たまにはすぐに役に立つ(かもしれない)ことを書こうよということで、むくみの話を書きます。

私は事務所に所属しての健康保険の適用の訪問マッサージと、自営での自費のマッサージをしています(そちらは訪問もサロンもあり)。勤務でも自営でも、マッサージの時間の単位は30分か60分です。60分あるといろいろできるのですが、30分だと主訴に対応して終了ということも多いです。特に保険適用の方は血圧とか脈拍とか酸素飽和度とかのバイタルも取らねばなりません(それ入れて30分だとほんとなにもできないのでなんだかんだで30分枠でも小一時間かかったり、というのは秘密←ゆうてる)。
ということで、さまざまな講座で教えてもらったことと試行錯誤によって、30分で足のむくみを取る方法を組み立てました。誰にでも全部同じではないので完全にマニュアルになったりはしないのですが、ほぼ全員にやっていることを抜き出して書きます。膝から下の下腿といわれる部分のむくみがひどくてはだしでも靴を履いているようだとか皮膚がこれ以上伸びないぱんぱんの状態になっているとか足首が無いとかいうかたに、おそるおそる様子を見ながらお試しください。
以下、クライアントさんが仰向けに寝ている状態を想定しています。
また、下記は基本的に使っていないので浮腫んでいる人向けです。大腿骨頚部骨折で浮腫んでいる人には2以下はともかく1はぜひとも抜かしてください、危ないです。
また、リンパ節を取ったためのむくみのかたには私は過去お一人しか、しかも一ヶ月しか施術したことがありませんので、医療リンパマッサージの方がいいのではないかと思います。

1 膝が曲がるようなら膝を曲げて、無理なら曲げずになんとかして股関節を動かします。膝が曲がればその時点で屈曲してますよね。股関節はそれ以外にもいくつか動くことができますが、とりあえず仰向けだと屈曲、内旋、外旋、外転、内転ができます。膝が曲がる人だと回転の動きができるかもしれません。回転ができると上記のほとんどが含まれます。
ゆっくり、痛くないか聞きながら、相手の動きが可能な範囲を感じながらやってください。動きのチェックを兼ねて1~2分くらいやります。目的は最終的にリンパ液が戻っていく先をながれやすくしておくことです。

2 マッサージをします。具体的には、圧はかけずにロングストロークをします。もっと具体的には、『アウェアネス介助論』のアウェアネス・スルー・タッチの項をご参照ください・・・というのもナニなので、自分が気をつけてることだけ書いておきます。
・とりあえず、動かします。足の指を一本ずつ関節を意識しながら動かして、足指~足首まで関節の動く範囲を確かめつつ動かします・・・というのを細かく説明しにくいので具体的には会ったときに聞いてください。ただ、足首を動かすときに、体操でよくある足部(足の甲とか)をつかんで回すのはお勧めしません。かかとを持って回しましょう・・・というのを具体的に説明しにくいので(以下略
・ロングストロークをします。ロングストロークなので、足底から出発してずーっと、短くても膝の上までは行ってください。経路については上記の書籍をご参照ください(または会ったときに以下略)。ときどき足裏のアーチとかの構造に沿って短いストロークを入れたりもします(構造にそってがどういう意味かは会った以下略)。ストロークの目的は、不要な水分の排出を促すためです。
・オイルが使えるならオイルなどの滑材を使うことをお勧めします。とくに皮膚がぱんぱんになっているくらいむくんでいるかたは下手に圧をかけると皮膚が損傷する可能性が無いとも限りませんので、ぜひ使ってください。
・ストロークをするとき、圧はかけませんと書きました。ストロークで骨と筋肉の境目がわかる場合はストロークと動きの繰り返しだけで時間を全部使っても皮膚にしわがよるくらいまでは行くと思われます。が、例外的に、むくみすぎてて骨はどことか足首が無いとかいう場合、ストロークで多少緩んだら、平らに均一に遠くからゆっくり弱い圧をかけます(またわからない表現を、具体的には会っ以下略)。目的は骨と筋肉の質感の違いを自分と相手双方の身体に知らせるためです。骨がある感じがしたら目的は十分なので、押しすぎないようにします。圧をくわえるのは骨と筋肉という組織の違いを感じることが目的であって、組織を押すこと自体が目的ではないので。

たぶん上記を片足15分やったら、最初よりは皮膚にしわができているはず。立ってもらうと足が地面についているのがわかる程度にはなっているはずです。
時間が短い時は、なんとなくこれやっとこうという姿勢で臨むと時間が過ぎまくります。どういう目的で、どんな構造に、何を意図して、どんなことをしているのかを意識するといいと思います。あと、ゆっくり手を動かすと、時間が伸びます。こんなゆっくりやっちゃって大丈夫かしらと思うくらいゆっくりやることをお勧めします。

私には優れた師匠や同僚がやまほど居るため、特に優秀でもない自分がこういうことを書くつもりはほとんど無かったのですが、先日チームを組んで訪問している理学療法士さんが、マッサージが入るようになったら歩行訓練がスムースになったと言ってくださったので書いてみました。誰でもむくんだ足で運動したい気分にならないですよね。めっちゃむくんだ人はほんの少しむくみが減っただけでも動くのが楽しくなると言ってくれたりします。
キネステでは、動くためにまず必要なもののひとつに感覚を挙げています。むくんだ足の人にマッサージをすることは、むくみを取ってその部分を動きやすくすることだけが目的なのではなく、感覚を取り戻して身体そのものの動きを支援する、全身の動きに関わる支援のひとつなのだと思います。

ということで、これほんとはアロマセラピストさんとかエサレンの人にも読んでほしい記事なのでした。

また意味も無く勝どきからの夜景・・・。

また意味も無く勝どきからの夜景・・・。


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