フェイスブックで、質問を頂きました。
「これはキネステ的に何の要素が入ってたりしますか?
押し引き?スパイラル?」
ドラム缶さんか、投げてる(?)人か、受けてる人か、誰の動きについての質問かが、まず気になります。もっとも、キネステの概念は動きに含まれてるものなので、どの概念の側面も、全部あるんですが。でも、きっと質問は、そういう意味じゃないですね。
そこで、ドラム缶さんの移動を介助する、という意味で考えてみます。
以下、キネステ用語で説明しますので、そんなの読んでも分からないわという方は、すみませんが本日のこのブログは、ドラム缶動画を見るだけの記事だったと思ってくださいm(__)m
上記のドラム缶さんの移動を、キネステの概念で説明します。
この作業は、コースではサポーターレベルでやることです。なぜなら概念を理解していないと、動きを概念で説明することが出来ないからです。
・・・とはいえ、ドラム缶さんを概念で説明するのは初めてなので、いろいろ微妙でもご寛恕ください。
感覚:ドラム缶さんの持ってる感覚は、あるのかもしれませんが、使ってもらうのは難しそうです。ドラム缶さんのキネステティク感覚の代わりにバランスを取ってあげて、行く先を視覚で確認する手助けが必要そうです。
マスとツナギ:ドラム缶さんは、マスが一個ですね。ツナギはありません。一個のマスの中で重さをうつすことが必要そうです。
骨と筋肉:ドラム缶さんは骨だけです。筋肉はありませんね。筋肉の仕事である、骨を動かすことを、介助者が手伝いましょう。骨の形はドラム缶型ですね。当たり前か。円筒形なので、曲線と直線、曲面と平面で構成されています。
オリエンテーション:ドラム缶さんの中でのオリエンテーションで動く際に問題になりそうなのは、前面後面でしょうか。っていうか後面しかないです。動くときに動く方向を教えてあげることは必要そう。
動きの要素:ドラム缶さん、自分で出せる力はなさそうです。動くために外側の力として助けてあげましょう。時間と空間は、この場合は介助する人の希望で決まるのかもしれませんね。
保つ動き、運ぶ動き:ドラム缶さんに移動しやすい姿勢になってもらうのに、保つ動きを使うかも。動いてもらうときは運ぶ動きですかね。文字通り運ぶし。
パラレルとスパイラル:この動画の動きは、スパイラルなんじゃないかと思います。ドラム缶さんの骨の、円になっているラインの運ぶ部分を上手く使ってるという解釈ではないかと。
もうひとつ、パラレルで動いてもらうこともできますよね。ドラム缶さんの側面、左右対称な面を使って転がってもらう方法。厳密に言うと曲面なのでパラレルじゃないかもしれませんが、介助者の介助の動きがパラレルに近いので、ここではパラレルな動きと呼ばせてもらいましょう。
押し引き:上でスパイラルの動きになっている方は、ドラム缶さんのマスの二箇所で押し引きが行われて、回転しています。
パラレルの方は、押しですかね。
体位:体位は、マスがひとつなのではっきりいえませんが、縦になってたら立位、横になってたら臥位にみえますね。脳で擬人化されるのでしょうか。
移動:移動の方法は、上に書いた転がすのは歩行ですね。重さを介助者が持ち上げることなく、軽いところを新しい場所に移していきます。
これがクレーンで吊って移動とか、床にころころが並んでいて立てたまま押していくとかすると、歩行ではなく跳んでますね。
インタラクションのパターン:スパイラルの方は、一方向性ですね。パラレルの方は、一方向性も、対話的も、同時性双方向性もできそうです。
環境:環境として、床がころがりやすいこと(滑らかで平らで固さが有る)、環境としての介助者に転がすスキルがあることが求められます。
考えたらすぐ分かると思いますが、ドラム缶さんのスパイラルな歩行は支持面に接している面積が少ないので、バランスを取るためにスキルが必要です。本人・・・じゃない、本ドラム缶にバランスをとるだけの力やキネステティク感覚がないので、介助者がかわりにやってあげないといけません。それに対してパラレルな動きは、接地面が広いので、手を離していても、バランスは本ドラム缶が取ってくれます。動きだけ介助してあげればいいので、スキルが少なくて済みます。
インタラクションのパターンから見ても、スパイラルは一方向性なので、途中での修正やコントロールができません。その点でも一発勝負的なスキルが求められそうです。
・・・というような感じでドラム缶さんの歩行を考察してみましたが、考察と実際やってできるかどうかは別物です。ドラム缶さんのパラレルな歩行は介助者のスキルがあまり必要ではないのですぐに誰でも出来ますが、スパイラルな歩行は介助者に高いスキルが求められます。
ドラム缶さんをスパイラルに歩行させたかったら、スキルを高めましょう。
以上です。