エアーベッドから落ちる話と砂浜を走るバイクの話~「寝る」という活動と環境について・3

「寝る」という活動と環境の話、続きです(前回はこちら)(初回から読みたい方はこちら
本日、世の中的に連休とのことで、いつもに増してダラダラブログを書いております。すみません。

昨日のブログでは、エアーマットに寝ると褥瘡はできにくいですよ、だけど動きにくいですよ、という話を書きました。それらの理由はどちらも、エアーマットだと体の乗っている面に圧をかけにくいから、です。
身近な例だと、たとえばですが、砂浜の上を走ったことがありますか。
アスリートがトレーニングのためにわざと砂浜を走る、みたいな話をどこかで見たことがありますが、砂浜の上を走ると、足を着地した部分の砂が崩れて安定しません。その下に固い地面があるので走ることはできますが、相当走りにくいです。
余談ですが、私、昔バイクにに乗っていて、道なき道を走ってる派の知り合いと砂浜を走りに行ったことがあったんです。そのとき、走るために何をしたかというと、タイヤの空気を抜いて、ついでに私のバイクをみんなで乗りまくっていました。理由は私のバイクがタイヤが異様に太いバイクだったからです。つまり、安定した地面が無いところでは、接地面を増やすことで安定を得ることが出来るんですねー。砂を蹴散らしてアクセルターンするのとか、結構面白かったです・・・めちゃめちゃ転びましたけど。

以上、閑話休題。ってことで、本題です。

ある日担当することになった、あるクライアント様(※個人情報的な意味で、複数の方のケースを混ぜてます)。
エアーマット使用の介護ベッドをご利用なのですが、ベッド上ではなく、床にお布団を敷いてそこで施術して欲しいというご本人のリクエストがある、と伺う前に聞きました。日中はリビングでおひとりで車椅子で過ごしていて、ヘルパーさんが入っています。引継ぎの際、前任者さんに、エアーマットのベッドから床にトランスできますか?と聞かれました。

エアーマットのベッドで寝ている方を、床へ。
普通の介護ベッドじゃない、と。
・・・まじですか。
ちょっと考えさせてください。という案件です。
伺ってみた感じでごにょごにょとかなんとかお答えして伺ったところ、目が点に。

車椅子からベッドにも、ベッドから車椅子にも、ほんの少しお手伝いするか、なんなら見守り程度で、ご自分で移れる方でした。

・・・なんでエアーベッドに寝てらっしゃるのでしょう。
伺うと、一時期調子が悪く、そのときにエアーマットにしたとのこと。
ご自分でも、エアーベッドは動きにくいから元のベッドに戻りたい、と。
でも念の為このままで様子を見ましょうと。車椅子も、転んだりしたら危ないからこれで移動してねと言われる、と。

日中おひとりなので無責任なことはいえないのですが、あれだけご自分で動けるなら、普通のベッドに戻せないのかなあ。
・・・と、報告のときに、ケアを担当している方に言ってしまいました;

先程砂浜にたとえましたが、エアーマットのベッドと一口に言っても、いろんなベッドがあります。
すくなくとも5種類くらいは乗ったことがありますが(施術で乗っただけなので寝ては居ない)、昨日引用させていただいた曽我さんの言葉のように、場所で圧を変えられたり、いろんなモードがあるもの、あたたかくなるものなど、一見至れり尽くせりです。
で、変えられるモードの中に「リハビリ」っていうモードが大体どこのベッドにもあって、動いても空気圧が一定になって、動きやすくなる・・・はずなんですが。
今まで行ったお宅の中に、リハビリモードで施術していて、ベッドから落ちそうになったベッドが一台だけありました(笑)なんていうんでしょうか、表面がやわらかいバランスボールみたいになって、ちょっと端に寄ると、ベッドの縁から滑り落ちるんです。まるでベッドに嫌われているかのような気持ち。あんたは乗せないわよ的な。

このベッドで端座位から立ち上がりとか、リハビリしてもらう勇気は私には無いよ!!

そっとリハビリモードをオフにしました。

リハビリなんてご家族は使わないのでいいんですが(いいのか)、メーカーさんはこれ使ったんでしょうか。
まあ、普通ベッドは寝て起きるだけですから、ベッドの縁に寄って座って動作をしようとするなんてことは、ないのかもしれませんね。

と、ここまでエアーマットは動きたい人にとっては動きにくいという話をしてきましたが、ここで曽我さんのお話の最後のほうの部分を振り返ってみましょう。
肉体的に動きのトラブルは無い、むしろ動かないでぐっすり寝たいという方が、特定の位置に褥瘡ができないように、エアーマットを選択されたというお話がありました。

そのように、エアーマットの動きにくさに左右されずに動ける能力があって、メリットだけを選択できる場合、エアーマットはとても役立つ選択肢になります。
そして、エアーマットの動きにくさに左右されないケースは、もうひとつありますね。エアーベッドの動きにくさに関係なく、動けない場合です。この場合もベッドの条件は関係なく第三者による体位変換が必要なので、エアーベッドのメリットを選択するでしょう。

問題は、この二つ以外の場合です。
動けます。
でも、エアーベッドだと、動けません。
初日に書いた、低反発枕と同じです。
頑張れば、または頑張ることが出来る能力があれば、動けます。
でも、頑張らないようにする・動くスキルが落ちていたり、眠っていたりすると、エアーベッドや低反発枕は、弱っている体や眠い体が、小さい力で動こうとすることを妨げます。
そうすると、低反発枕だと、寝違えたりします。
エアーマットだと、どうなるか。
エアーマットがふっかふかだから動けないんだよ、って思うでしょうか?
そう思う人も居るでしょうが、けっこうな割合で、こう思う人も居るでしょう。

 

「私はもう、自分ひとりでは動けなくなってしまった」

 

 

寝ることと環境の話、続きます。

本日のまとめ:
「エアーマットは動きにくい、でもすごく動ける人とぜんぜん動けない人にとってはメリットだけを享受できる」
「曽我さんありがとう」
明日の予告:
すごく動ける人とぜんぜん動けない人、その間に居る人はエアーマットでどうなるんでしょう
「曽我さんありがとう」
明日は自分で動くことについての話になる予定です(たぶん)


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