昨日の続きです。
ロボットしか選択肢がないのは残念、と書くと、
「介護ロボットに反対なんですか?全部人がやらないとダメとか思ってるんですか?」
といわれたりすることがありますが、そうではありません。
介護ロボットがやることでも、介助を受ける人の動きを手助けするものならいいと思いますし、人間がやることでも介助を受ける人の動きを手助けしないものなら困るなあと思っています(ここで「介助を受ける人の動きを手助けする」というのはどういうことかという話が入ってくる方が誤解がないと思うのですが、長くなるのでそれはまた明日書きます)。
で、現状よく取り上げられるロボットは、私が見ると、ほとんど「介助を受ける人の動きの手助けはしない」ロボットだというだけの話です。
昨日ロボットの話を書いたのと同じくらいのタイミングで、NKA日本キネステティク普及協会理事の澤口先生(通称さあさん)が、次のようなことをフェイスブックに書かれました(以下、太字部分は引用)。
「・・・6/9に当院で褥瘡対策チーム主催の講演会がありました.講演者は三重大学工学部メカトロニクス学科の矢野教授です.
http://www.robot.mach.mie-u.ac.jp/html/
素晴らしかった.参加したナース,理学療法士,作業療法士がみんな「すごかった」と言っていました.
矢野教授はいろんな分野の研究をしています.
1年の1/3である120日は学会などで旅行しホテルで寝ます.1/3は家に帰ります.1/3は研究室のイスで寝ます.研究室には脊髄損傷の人を研究員として雇っています.開発したロボットの評価をしてもらうのです.
かつては全介助型のロボットを作っていました.しかし,現場に持っていくと使い物にならないことに気づきました.ロボット装具を作りました.上出来でした.しかし,使っていくと脊損患者さんが『使えることを忘れていた筋肉を使うことを思い出して,機能がどんどん改善していって,かんたんなロボットで十分なことがわかった』といいます.
すごいでしょ! わたしの主張と同じです.工学と医学というまったく別の分野なのに,行き着くところは同じです.その理由は両者とも『困っている人を手助けしたい』からです.・・・」(引用ここまで)
リンク先の三重大学のページをたどっていくと、食事介助のロボットを開発することについて、こんなことを書いてらっしゃっている部分がありました(以下太字部分引用)。
「ロボットに食べさせてもらうのではなく、ロボットを使って自分で食べる」
「自分の力で何かができるという喜びを提供する」
これを読んで、キネステティク・クラシックの介助の考え方と同じだ!と思いました。
これは、大きな意味では、「介助の主体は誰なのか」ということに繋がります。
ということで、介助の主体についての話は、また明日に続きます。